徳本峠をクラッシックルートで越える(R8.7.20~22)①
「徳本峠」は長野県松本市(旧安曇村)にある峠で、上高地までの車道が開通する前は、島々谷から歩いて峠越えするルートが唯一の上高地へのアクセス手段だったということです。
そんな峠越えは、今から50年前に高校山岳部員だった私には大変魅力的なルートに思えたのです。
高校時代も何度かプランニングしましたが、実現には至らず、その後は東北の大学に進学したこともあり、なかなか訪問する機会を得られずにいました。
社会人になった以降は山登りそのものから長いこと遠ざかっていたため、最初に「峠越えをしてみたい」と思ってからあっという間に50年もの月日が流れてしまったというわけです。
今回の峠越えは、昨年夏に乗鞍岳に登った帰りに島々の「アルパインcafe満寿屋」に立ち寄りオーナーとよもやま話をしたことが直接の動機付けになっています。
オーナーは徳本峠越えクラッシックルートの整備に取り組んでおられたのですが、当時は水害の影響でクラッシックルートが通行禁止になっていました。
私にとってクラッシックルートを歩くことが高校時代からの懸案である旨をお話したところ大いに盛り上がり、開通の見通しなどを伺いました。
確かその時は、「まだ、いつからとは言えないんですけど、近いうちに良いお知らせができると思いますよ」と話されていました。
結局、その後秋になってめでたく再開となり、オフシーズンの冬季閉鎖を経て、今年の5月に今シーズン通行可能であることが確認できました。
そこで今度こそ実現しようと山友のN君を誘い、初日は島々山荘に宿泊して翌日の早立ちに備えるプランニングとしました。
【第一日目】
島々まで行くだけなので、N君とは16時過ぎの松本駅から新島々行きの上高地線に間に合う時間で待ち合わせます。
下の写真は、上野から長野まで新幹線を利用した私が、長野駅で特急しなのに乗り換える際に写したものです。

出発前の上高地線の車内でN君と無事にドッキングしました。
新島々で下車し、駅前のセブンイレブンで買い出しをします。
島々山荘のオーナーとはこちらで待ち合わせています。
買い物を終えて店外に出るとオーナーの塩湯氏が待っていてくれました。
彼の車で島々山荘まで送ってもらいます。
今宵の宿泊者は我々だけだそうです。
山荘内の説明を受け、宿泊料を支払った後に明日歩くクラッシックルートに関する情報をたくさん聞かせてもらいました。
要注意は「大高巻き」ということでした。
「自分でもトップ近くは怖い」という氏の話に我々は少なからずビビりました。
また、小一時間に渡って島々集落の歴史や現状に関する興味深いお話を伺うことができ、思いがけずに有益な時間となりました。
氏は「岩魚留小屋再生プロジェクト」の代表を務められていて、「再来年には小屋が再開できるように頑張っているので、そしたらまた来てください。」と再訪を勧奨されました。

氏が帰られてから、N君とアルコールをいただいた後に食事を済ませます。
シャワーは自由に使えるので、就寝前に使わせていただきました。
驚いたのはバスタオル、浴用タオル、歯ブラシ等が完備されていることです。
これで一人6,500円は大変リーズナブル
下の写真は談話室です。

明日は4時に起床するということで、8時過ぎには布団に入りました。
ところが私はなぜかほとんど眠れず、うつらうつらしただけでした。
これが翌日後半のコンディションに多大な影響を及ぼしたようです(‘_’)。

【第二日目】
さて、眠れぬまま二日目の朝を迎えました。
予定どおり5時過ぎには宿を出発します。
雲量多めながら晴れています。

島々集落の一番奥にゲートが設置されています。
ここから先は関係車両のみが通行できます。
N君は今回マウンテンダックスザックのデビュー戦です。

朝の涼しいうちに林道歩きを終わらせたいところです。

緑濃い林道を歩きます。

二又まで林道で行けるのかと思いきや、途中でこんな山道になります。

こんな説明板も…

二又は近い

二又到着です。
トイレの建物はありますが、使用禁止になっていました。
ヘリで荷揚げされた資材が沢山あります。

二又から岩魚留小屋の間には高巻きが二か所あります。
こちらは最初に出会う左岸の高巻きの始点にある表示

各橋には名前が付いています。



「かま」です。

こちらが右岸の大高巻きの始点です。

シーズンが始まって通行人口がまだ少ないせいか、不安定な場所も多い。
70~80mは登ります。
落ちるとただではすみません。
くれぐれも慎重に…。

高巻きを終えて一休みしました。

このころからなんとなく体がふわふわするような感じがして調子が上がりません。

谷を右岸、左岸と渡りつつ上流へ向かいます。
この前後で不覚にも何でもない段差の場所でスリップして2mほど滑落しました。
幸いにして軽傷で済みました。

なかなか良い雰囲気です。



ようやく岩魚留小屋到着です。

実は私も再生プロジェクトのクラウドファンディングで投げ銭をしました。
プロジェクトの進行を少しでも応援したいと思っています。
ここで湯を沸かしカップラーメンを食べて昼食大休止としました。
私はやはりあまり体調が良くなく、自分のバーナーは出さずに、N君のジェットボイルで沸かしたお湯のおすそ分けをいただきました。

手前に写っているのは我々の後から来られたソロの男性です。
小屋でも一緒になりました。

手前の巨木は小屋のシンボルツリーのかつらです。

小屋を後にしてからもやはり調子が上がりません。
とは言えここまで来たら徳本峠まで頑張るしかない…。
N君のアドバイスで途中の流水で顔、首筋、脇の下を徹底的に冷やしました。
これでだいぶ調子が戻りました。
やはり昨夜の寝不足と暑熱順化不足が原因と思われます。
その後は花の写真を撮る余裕も…
こちらはタマガワホトトギス

やっとの思いで「ちから水」到着です。
ただ、期待してたほどの水量ではありませんでした。
この手前にも小沢を横断する場所があったので、むしろそちらで給水する方がベターかもです。
ちから水付近で私のペースだと小屋到着が16時を回るかもしれないという懸念があったので、docomoのスターリンクダイレクトを使ってLINE経由で自宅の細君に「徳本峠小屋への到着が16時を回るかもしれないと小屋に電話してくれる?」と依頼しました。

力水で給水した後、小屋までのつづら折の登りに取り付きます。
登りの途中で再びスターリンクダイレクトでLINEを確認すると、「小屋に電話しました、『ゆっくり来てください』とのことでした。」との返信が細君から来ていました。
私にとっては初のスターリンクダイレクト利用でしたが、画期的だなと…。
うたい文句のとおり空が見えていればメールのやり取りができる。
島々谷はまったく電波が通じないと言われる中、スターリンクがあればかなり気持ちにもゆとりができると思います。
ただ、その分、モバイルバッテリーは必携になるかと…。
さて、引き続き登ります。
峠が近づくにつれ、登山道には両側から草が覆いかぶさり、足元が見えにくい状況が続きます。
登りはともかく、下りはかなり気を遣うことになりそうです。
島々山荘の塩湯氏が、最後の橋を渡った辺りからは草がぼうぼうで藪漕ぎ状態になるかもしれないと言ってましたが、本当にその通りの感じです。
彼曰く数日後に草刈りに入るとのことでした。
こちらの花はセンジュガンピ

こちらはサンカヨウの実
食べられるそうですが、果肉が少ないらしい。

何とか徳本峠小屋に到着です。
チェックイン手続をしてオーナーの息子さんに寝場所を案内してもらって荷物整理をします。
そうそう、島々山荘の塩湯さんから「『三連休お疲れさまでした』と小屋の高橋さんに伝えてください」と言付かって来たので、そのままお伝えしておきました(^^♪。
写真手前の建物が国指定登録有形文化財の旧徳本峠小屋です。
そして奥の建物が新館です。

寝場所を整えて着替えてさっぱりしてから外で乾杯です。
私は本調子じゃないのでコーラにしておきました。

峠は明るく開けた良い場所です。

穂高連峰がよく見えています。
一番右が前穂
その左手前は明神
さらにその左手の雲に巻かれているのが奥穂
です。


夕食は17時半スタートです。
今日の宿泊者は14人でしょうか…。
夕食はおかずが豊富で美味しくいただきました。

食後は歯磨きをして早めに就寝しました。
なお、消灯時間は19時半です。
今日は色々あって難儀しましたが、無事に小屋まで登ってこれて何よりです。
あと、重ねて言いますが、スターリンクダイレクトは凄い。