西丹沢の檜洞丸(ひのきぼらまる)は高校時代からずっと行ってみたかった山です。
そして当時は、西丹沢ビジターセンター(当時は西丹沢自然教室という名称だったように記憶しています。)からつつじ新道を登り、山頂から犬越路を回ってビジターセンターに戻るというコースを山行計画のストックとして持っていたように思います。
今回たまたま細君が土日を利用して友人達と旅行に出かける予定だったので、私も一泊の山行を計画しようと、当初は表丹沢の木ノ又小屋に電話を入れたのですが、「満室」という残念な回答でした。
木ノ又小屋の親父さんの話では「この時期は表丹沢の小屋はみんな満室だと思うよ…」ということだったので、それではと西丹沢唯一の営業小屋の「青ヶ岳山荘」にメールを入れてみると「大丈夫です。」との回答…。
早速予約を入れたというわけです。
コースは一泊なので高校時代の想定とは逆回りで計画しました。
犬越路も武田信玄が小田原攻めの際に犬を先頭に越えたという言い伝えがある由緒正しき峠です。
さて当日は最寄駅から常磐線始発電車に乗って新宿駅を目指します。
小田急新宿駅7時発のロマンスカーに乗り、町田駅で急行に乗り換えて新松田駅で下車します。
駅前で待っている8時25分発の西丹沢ビジターセンター行きのバスに乗車すると約70分の旅で終点に到着です。
自宅から4時間以上かかるアプローチですから、結構な遠征登山と言っていいのではないかと…。
西丹沢ビジターセンターで降りた乗客は5名ほどで、途中の玄倉(くろくら)で多くの登山者・ハイカーが下車しました。
ビジターセンターでトイレをお借りします。
センター前では神奈川県警察の山岳救助隊の隊員とセンター職員が何事か打ち合わせているようでした。
センターを後に出発します。
乗ってきたバスが方向変換して停まっています。
正面に見えているのは大室山でしょうか…。
それにしても雲一つない晴天になりました。
この後、パトカー2台とビジターセンターの車両と思われる4輪駆動車に追い抜かれました。
何かあったんでしょうか?
つつじ新道の分岐を通過します。
明日はこちらに下りてくる予定です。
犬越路の分岐に到着です。
ここから未舗装の林道を進みます。
用木沢を立派なアーチ橋で右岸から左岸に渡ります。
最初の渡渉点です。
特に問題ありません。
この黄色の指導標が大変目立って有難い。
水害が多いと見えて結構奥まで堰堤が造られています。
2019年の大雨の際には相当荒れた模様です。
見えている稜線は小笄(ここうげ)辺りでしょうか?
まだ、傾斜は緩やかです。
青空に紅葉が映えます。
素晴らしい。
この雰囲気は植林帯では決して味わえませんね。
今日もマジックマウンテンの36ℓ一本締めザックにお供してもらっています。
使い勝手は最高です。
距離数表示が励みになります。
新しい指導標が要所にあります。
歩いて来た道を振り返ります。
犬越路沢沿いに入ると傾斜が増します。
さてもう一息…。
犬越路に到着しました。
この解説板は「いぬごえじ」となっていますが、「いぬこえじ」との呼び方もあるようです。
いずれにしろロマンを感じる名称です。
念願の場所に立てて満足です。
私の高校時代にも避難小屋はあったやに記憶していますが、今は水洗トイレも併設された立派な小屋が建っています。
奥の扉がトイレの入口です。
洋式便器で壁に設置されている大きなレバーを前後に動かして水を流すシステムです。紙は持ち帰りです。
確か黍殻山の避難小屋も同じシステムのトイレでした。
小屋では先着の男性が昼食休憩中でした。
私もカップラーメンの昼食をとります。
このクッキングシステムは超軽量で風よけさえ工夫すれば十分使えます。
昼食休憩の後、小笄(ここうげ)へ向かいます。途中の稜線上から富士山を望みます。
最高です。
手前の山は畦ヶ丸でしょうか?
鎖場も何か所かありますが、登りの場合は使わなくて大丈夫なのではないでしょうか…。もちろん個人差もあると思います。
振り返ると大室山が立派な山容で横たわっています。
目を凝らすと鞍部に犬越路避難小屋が見えています。
ズームしてみました。
明るい尾根道です。
丹沢特有の痩せ尾根もところどころにあるので注意が必要です。
大笄(おおこうげ)への登りです。
もう一息です。
小笄も大笄も山頂には標識すらありませんでした。
富士山に雲がかかってしまいました。
矢駄尾根コースの分岐です。私は正面の木段を下りてきました。
見下ろす谷間はゴーラ沢でしょうか?
この分岐は明るく開けていて気分の良いところでした。
さあ、いよいよ檜洞丸への登りです。
何と優美な山姿なんでしょう。
アップすると山中湖が良く見えます。
南斜面は崩落地になっています。
霜が融けて泥濘状態になっています。
最後の木段道を頑張ると檜洞丸山頂です。
高校時代からの宿題の山に来れてバンザーイ(^^♪。
山頂の一角から富士山を望みます。
指導標は近年リニューアルされたようで、見易いものでした。
こちらは蛭ヶ岳です。山頂の蛭ヶ岳山荘が見えています。
塔ノ岳方面から見る丸っこい山容とはちょっと違いますね。
今宵の宿の青ケ岳山荘に到着です。
小屋には16時までには到着しますと連絡しておいたんですが、予定より早い14時45分に到着できました。
ペースも上々でした。
小屋からは蛭ヶ岳がくっきり。
この縦走路も来年あたりに歩いてみたいなと…。
夕食前に夕日見物に…。
同宿の皆さんに図らずも山名解説することに…(^^♪。
夕食はカレーライスとわかめスープでした。
あらかじめオーナーがライスの量のオーダーを取るので希望を伝えます。
全員大盛希望でした。
コクのある美味しいカレーでした。
ちなみに宿泊者は10名です。
ランプとLEDライトが照明です。
ずっとランプの小屋だったところ、ソーラーシステムを導入して電気が使えるようになったんだそうです。
夜景の写真を撮ったのですが、スマホなのでダメでした。
蛭ヶ岳の左側でひと際強い光を放っているのがスカイツリーですね…。
星も大変よく見えました。
写真ではなかなかわかりませんが…。
食後しばらくしてから希望者は「スペシャルコーヒー」をいただきました。
オーナーが豆を挽いて淹れてくれる本格ドリップコーヒーです。
エチオピアの豆でモカということです。
200gで5,000円の豆だそうです。
オーナーは女性で基本的にお一人で小屋の切り盛りをされています。
青ケ岳山荘は彼女の父君が建てられたそうです。
コーヒーを飲みながら四方山話をしてくれました。
〇父君は今上陛下が皇太子時代に山荘に立ち寄りコーヒーを飲まれたことを自慢にされていたこと
〇コーヒー豆は父君の代は青ヶ岳山荘にちなんでブルーマウンテンNo.1を使っていたこと
〇自分は特にこだわりなく、美味しいと思ったものをお客さんに味わってもらっていること
〇母親のお腹にいたころからこの山に登っているので、足掛け50数年山暮らしを続けている自分だからこそわかる山の様子があると思っていること
〇野生鹿の駆除がずっと続けられていて、最近ではほとんど鹿を見かけなくなってしまったこと
〇鹿駆除には反対の立場を取っていること なぜなら子供のころからずっと親しんできた野生鹿がめっきり数を減らしてしまい、鹿避け柵がそこら中に張り巡らされて逆に景観を損ねてしまったと感じていること
等々、なかなか有意義なお話をたくさん聞かせていただきました。
淹れていただいたコーヒーは大変美味しかった。
一杯1,000円でしたが、またコーヒーを飲みに来たいという気持ちになるような味わいでした。
20時半過ぎには全員(ご夫婦一組は1階の個室でした。)2階の寝床に上がりました。
布団はフカフカの布団でしたが夜は結構冷え込んで、モンベルのコンパクトダウンシュラフを持ってくれば良かったかなと少々後悔しました。
明日は、日の出と朝の富士山を見てつつじ新道で下山する予定です。
明日も快晴が期待できそうです。
「犬越路から檜洞丸に登る①(R6.11.30)」への1件のフィードバック